発音記号の第一歩でお伝えしたように、シュワはあいまいでわかりにくい音のくせに最も登場頻度が高く、シュワの発音を活かすも殺すもアクセント次第である、ということでした。いよいよアクセントになる音の正体について迫りましょう。
[æ]とは何者か
いよいよ出ました。[æ]です。あー、もうイヤになるかも知れません。見たことあるような、ないような、この見慣れない感じがもうイヤになるし、さらにこの[æ]はシュワの[ə]と違って名前もないしで伝えほうもだいぶ困ります。というかシュワ以外の発音記号には名前が無いので、これ以降は記号のみで書き表すしかないです(泣)涙を拭いて勇気をだして行きましょう。この[æ]が含まれる代表的な単語を挙げると、
- apple
- map
- black
- family
と、いずれも基本単語でカタカナにもなっている英単語です。赤文字になっている箇所が[æ]の音です。単語は基礎的なものなのですが、これらを[æ]を含めて正しく発音できるようになるのは実は並大抵ではないです。メチャクチャ難しいです、特に我々純ジャパにとっては。これらの単語を見た感じ、
[æ]の箇所って「ア」っぽいのかな。アップル、マップ、ブラック、ファミリー、うん、やはり「ア」の音っぽいな。
と感じてしまうかもしれませんが、英語の発音においては残念ながら全然違います(号泣)りんごを言う時に、カタカナで「アップル」は…多分、通じない率は9割超えるかも知れません。それくらいこの[æ]の音は、カタカナの「ア」とは根本的に違う音なんだな、思っていもらいたいです。
しかも、覚えておいででしょうか。今はアクセントになる発音を取り扱っています。なのでこの「æ」はガッツリ発音すべき音なのです。様々な発音の書籍でも「æ」は最初の方に必ず紹介されます。一生懸命説明がなされています。いずれも仰る通りで、本当に大切な音なのです。なぜ大切なのか?それは、
- 登場頻度がメチャクチャ高く、シュワと良い勝負するほど
- 「ア」だと思いきや「ア」で言うと全く通じなくて泣いちゃう(泣)
- 正しくは日本語に存在しない音
これらかと思います。この[æ]は日本人なら必ずと言って良いほど誤解する音なので、ここではもう思い切って大胆に、この音で例えましょう。それは
カタカナの「エ」
です。
んなアホな?と思いますが、これが結構ハマります。先の例をもう一度
- apple →エップル
- map →メップ
- black →ブレック
- family →フェミリー
もちろん、母音の[æ]以外にも気をつけなければならない発音ポイントはあります(子音など)が、これくらい「エ」の音が必要なのが[æ]の音なのです。しっかりと「エ」と発音していれば口の形も自然と理想に近づきます。
よくあることなのですが、この[æ]は「ア」の音ではないにも関わらず、「ア」の音のグループで紹介されることがあります。英語の「ア」にはいくつかありますよ〜まずは〜、みたいな感じです。本当に良くないと思っています。なので、
[æ]≠「ア」
かつ、
[æ]≒「エ」
と、僕は心得ています。
日本人であれば「ア」という音は深く馴染みすぎているので、[æ]に関しては馴染んでない「エ」の音を十分に意識して、し過ぎるくらいで丁度よい、と考えています。矯正のような感覚です。結局僕ら純ジャパは日本語の「ア」の音はどうしても漏れ出てきてしまうからです。
さらに、「ア」の音は別の発音記号で近い音があるので、その発音と勘違いされてしまうことが一番の原因です。それが次項です。
[ʌ]という発音記号
片目にっこりのような、数学で見たことあるような、トンガリさんな記号の[ʌ]の紹介です。前項で[æ]を見ていきました。そして僕ら純ジャパは、[æ]の発音を[ʌ]と発音してしまう間違いが多いです。というのも、この[ʌ]の音こそ、カタカナの「ア」で代用が可能だからです。
細かく言えば、単純な「ア」では少し物足りないので、代用可能、くらいに思って欲しいです。「アッ」のような少し短く切って喉奥から発音する感じです。[ʌ]の例を挙げると
- up
- cup
- sun
- run
あたりが挙げられます。いずれもアップ、カップ、サン、ラン、と言っても大丈夫です。(runのrは要注意ですが…)こうしてみるとアルファベットの[u]が[ʌ]の発音を担うことが多いです。全てではないのですが、こうした傾向があることに自ら気づくかと思います。
間違えやすい[æ]と[ʌ]
具体的に間違いやすいペアを見ていきましょう。以下に2つの例があるので、どちらが[æ]でどちらが[ʌ]でしょうか?
- but 「しかし」
- bat 「(野球などの)バット」
正解は、
- but [ʌ] 「バッ」
- bat [æ] 「ベッ」
です。
butは大丈夫かと思いますが、batを言いたい時に[ʌ]で発音してしまう間違いが多いと思います。ぜひ気を付けたいです。さっきのように、「エ」の勢いで、べッ(t音脱落)くらいでようやくbutと差別化が図れる音になるので、知っておきたいペアです。
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